#48. ずぶ濡れ(与信も)

ビックリするカモ

当直でもないにのに、仕事が終わってもずっと病院にいた。

仕事が終わって何もすることがなくても、雨が降っているという理由で病院にいた。

朝からずっと雨が降っていた。

ダラダラとソファーで寝ていた時に、LINEが鳴った。部屋中に響く無機質な機械音。

ソファーに転がったまま、机の上に投げ捨てられた携帯を取る。

画面を見た瞬間に、カモは勢いよく立ち上がった。

着信画面には、みのりさんの名前が出ていた、慌てて通話ボタンを押す。

カモ 『み…みのりさんっ!?』

みのり『カモ先生…あの…お仕事中ですか?』

カモ 『え…お仕事…っていうか…ちょうど終わって休んでいたところですっ!!』

みのり『そ…そうなんですか!!)

久しぶりの会話に、お互い緊張していた。カモは何を話して良いかわからなかった。初めてみのりさんに電話した時も、多分こんな感じだった。イントネーションもおかしい。

みのり『あのですね…。』

カモ 『はい…。』

妙な間が出来る。

電話越しに、聞き慣れたカエルの大合唱が聞こえる。

みのり『来ちゃったんですけど…。』

カモ 『え…来ちゃったってっ!?』

久しぶりの、みのりさんの声。嬉しい。

カモ(悪魔)『来たって…生理ですか?』

みのり『ほんっとうに最低ですねwwww』

カモ 『すみません…』

みのりさんの笑い声が聞こえた。いつもの みのりさんだった。

カモ 『それで、来ちゃったって??』

みのり『会いに来ちゃったんです…カモ先生に…』

カモ『えっ!?えっ!?なんでですかっ!?』

みのりさんが住む場所から、カモの働く病院に来るまで車で2時間はかかる。この時間に来たということは、仕事を終えてすぐに出たんだろうか。

みのり『ひどいww カモ先生が逢いたいって私にLINEしたじゃないですかっ!』

本能のまま送ってしまったLINE。絶対に返信は来ないと思っていたので、返答に困った。

カモ『いや、うん…そうですけど…。今ですかっ!?』

みのり『…はい…ごめんなさい、迷惑だと思いましたけど…』

カモ『ちなみに今どこにいるんですか?』

みのり『あの…XXXのセブンイレブンにいます。』

カモの働いている病院のすぐ側にあるコンビニだった。

カモ『すぐに行きます!!』

急いでスクラブを脱いで、Tシャツとジーンズに着替えてセブンイレブンに向かった。驚いたけど、どうして突然こんなことになったのかわからないけど、心はずっとドキドキしていた。

セブンイレブンは、病院から歩いて5分くらいの所にある。

走っているせいか、傘が全然役に立っていない。大粒の雨が全身にかかる。水たまりも気にしなかったせいで、靴の中は完全に浸水している。

でも、心はお天気お姉さんだった(混乱

コンビニの入り口で、白のシャツに黒いスカートを着たみのりさんを見つけた。

久しぶりに見るみのりさんは、本当にきれいだった。

みのり『カモ先生…』

カモ 『みのりさん…』

お互い、何て声をかけていいかわからなかった。降りしきる雨の音と、コンビニの店内から漏れる音楽だけが、静かに聞こえている。

みのり『カモ先生、びしょ濡れじゃないですか!!』

カモ(悪魔)『みのりさんこそ、下半身がびしょ濡れなんじゃないんですかっ!?』

カモ 『ついつい、走ってきちゃったので…。』

みのり『風邪引きますよ!!着替えないと…。』

カモ 『大丈夫です。それよりも…来てくれてありがとうございます。』

みのり『えへへ…来ちゃいました…。』

みのりさん、可愛い。傘をたたんで向かい合う。

カモ 『あの…ありがとうございます!!会えて嬉しいです。』

みのり『わ…私もですよっ!!』

みのりさんは恥ずかしがって、視線を下に向けた。

カモ 『あの…本当はいけないことなんですけど、人として間違ったことなんですけど…白鳥さんから聞いちゃいました…。みのりさんのこと…。』

みのり『はい…、聞きました。』

カモ 『えっ!?』

みのり『白鳥さんから電話をもらいました。カモ先生が福岡に来て、一緒に飲みに行ったこと。その時、私のことを洗いざらいしゃべったことも聞きましたよ!!』

みのりさんが目を見開いて、怖い目でこっちを見ている。

カモ 『えへっ…』

みのり『えへっ…じゃないでしょ!!』

カモ 『ごめんなさい、でも…みのりさん言ってくれないじゃないですか!』

みのり『言ったらカモ先生、『僕も協力する!!』とか言って茨の道を歩もうとするでしょwwどんどん自分を追い込むでしょ…』

カモ 『えっ!?ダメなんですか…』

みのり『えっ…ダメでしょ!!それが辛いんですよ、私にとって…。』

カモ 『でも、夫婦って、そうやって歩いて行くんですよ。』

みのり『何で夫婦になってるんですかっwwww』

カモ 『えっ!?違うんですかwwww』

みのり『もう…』

みのりさんは あきれたような、困った顔をしていた。でも少しだけ嬉しそうに見えた。

みのり『わ…私は家を取り戻すために…一生懸命家のことだけを考えて…お金を稼ぐことだけを考えていたのに…。遊ぶ時間も恋愛する時間も全部仕事をして、いっぱい稼いで家を買い戻すって決意したのに…』

カモ 『知ってますよ…。』

みのり『でも…気がついたらカモ先生の存在がドンドン大きくなって…。最初は物件ドンドン買ってくれる、ただのカモネギ状態だったお客さんだったのに!!

カモ (あ…今ナニカひどいこと言われた。)

みのり『カモ先生と一緒に物件を見学に行ったり、契約手続きをしたり、修理をしにいったり、掃除したり…楽しかったです。カモ先生と一緒の時間は、自分の決意が薄らいでしまって、家族がバラバラになる前の自分に戻れたような感じがしてました…。』

みのりさんは静かに、ゆっくりと話した。

みのり『気がついたらカモ先生に連絡するのが楽しくなって…新しい物件が出たらすぐにカモ先生に連絡しちゃうようになって…』

何かを思い出すように、ゆっくりと。

みのり『でも、物件を売れば売るほどカモ先生の借金は増えていって…。カモ先生に近づけば近づくほど、カモ先生は借金だらけになっていって…それでずっと…ずっと罪悪感を感じていたんです。そして同時に思ったんです、この人は何でこんなに借金を抱えても笑っていられるんだろう、バカなのかな?って…。でもそんな優しい人にどんどん物件を売って、巨額の借金を背負わせてる自分は、最低な人間なんじゃないかって。』

カモ (あ、またナニカひどいことを言われた)

カモ 『僕が笑っていたのは、みのりさんがいたからですよ。みのりさんが売ってくれたから買ったんです。それに…全部みのりさんが言ったから買ったわけじゃないですよ、買わなかった物件もあったでしょ。みのりさんが一方的に買わせたんじゃない、僕達が一緒に選んだんじゃないですかw』

みのり『そうやって、優しいから…』

みのりさんの目には、大きな涙が浮かんでいた。

みのり『そうやって、いつも優しいから…もう好きだっていうしかないじゃないですか、一緒にいたいって思うしかないじゃないですか!!でも…でもこの感情は自分の罪悪感をごまかしているだけなんじゃないかとか、嫌な自分になりたくないだけなんじゃないかって思って!!』

カモはみのりさんを抱きしめた。

会いたかった。

ずっとこうやって抱きしめたかった。

カモ 『それで…いいじゃないですか。』

みのりさんの匂い。

風邪でダウンした日、初めてみのりさんに抱きついた日と同じ優しい匂いがした。

カモ 『いいんですよ、それで。もし仮に罪滅ぼしの気持ちでも、みのりさんが一緒にいたいと思ってくれるのなら、僕はそれだけで十分幸せです。』

みのり『カモ先生…私といると、本当不幸になっちゃいますよ。』

カモ 『みのりさんと一緒にいれない方が不幸です。』

みのり『仕事ばっかりで普通に恋愛できないですよ。』

カモ 『僕はアブノーマルなので大丈夫です』

みのり『それはちょっと私が大丈夫じゃないです ( ̄ー ̄;』

みのりさんは笑った。上目遣いでカモを見つめる。

みのり『あの…カモ先生? 冷たいですwwww』

自分が雨で濡れまくっていたことを忘れてしまっていた。

びしょ濡れの状態でみのりさんを抱きしめたせいで、みのりさんまで濡れてしまった。

カモ 『一緒にびしょ濡れですねww』

みのり『計画的犯行でしょwwwこれはwww』

みのりさんのシャツからキャミソールが透けている。

カモ    『エロいっ!!!(きゅぴーん』

みのり『あー、カモ先生!!いやらしい目をしていますよっ!!』

カモ 『そんなことないですよっ!!紳士の目ですよ、紳士EYEですよ!!』

みのり『どんな目ですか、それ…( ̄ー ̄;』

カモ    『と…とりあえず、どっかで雨宿りしませんか? 雨も冷たいですけど、さっきからコンビニの店員さんの視線も冷たいんですけども…』

みのり『そ…そうですね』

で…

なぜか、みのりさん in カモネギ先生の官舎!!

やれたかも委員会開催準備っ!!(マテ

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