#41.告白(その2)

かもねぎ特攻

みのり『え…』

みのりさんは驚いた様子でこちらを見ている。

いつもは視線が合う度、みのりさんも自分の方を向いて笑ってくれるのだが、目をチラチラと反らしている。カモは真剣な目で、みのりさんから視線を外さない。

カモ 『不動産投資に興味を持って、初めてXX不動産(みのりさんの勤める不動産会社)に足を踏み入れて、みのりさんを見かけた時からずっと好きです。初めて不動産会社に足を踏み入れた僕を不審者を見るような侮蔑の目で見つめる みのりさんが好きでした。僕に不動産投資を教えてくれて、初めてワンルームマンションを買って、一緒に笑って。物件を買う度に、どんどんみのりさんを知っていって…。トラブルに巻き込まれたり、クレームが出て一緒に対応していくのも、みのりさんといたから楽しかった。どんどん好きになってしまいました。今後もずっとそうやって歩いて行きたい…。それが…それが自分が彼女を作らない理由です!!』

途中、アルコールのせいで呂律が怪しい所はあったけど、カモは本心を全部伝えた。

もう、後悔はない。

みのりさんは、照れた様子でいつものように大きな瞳でカモを捕らえていた。

いつもと違い、潤んだ瞳には強い驚きが見られていた。

みのり『な…何言ってんだかっ!!カモ先生…酔っ払ってませんか…??』

照れるような仕草を必死にごまかしているような、すごく驚いた表情をしていたけど、何かカモが悪いことをしたかのような、カモが期待していた反応よりもずっと素っ気ない反応だった。

カモ 『酔ってませんよ、みのりさんは酔っ払っているかもしれませんけどww』

みのり『私もまだ全然酔っ払っていませんよっ!!た…多分…。』

た…多分っ!?多分って何っ!?www

みのりさんは、さっきよりも勢いよくグラスの中でワインをぶんぶん回していた。

みのりさんが、ぶんぶんグラスを回しているにも関わらず、ワインはこぼれずにグラスの中でグルグル回っている。豆腐屋のAE86に積まれたコップの水なみにワインはこぼれなかった。

店員    『飲み物のラストオーダーになります。』

カモ(ちょwww店員、空気読んでっ!!こっちは人生のラストオーダー中ですよっ!!

みのりさんはうつむきながら、少し上目遣いでカモの方を見ていた。

みのり『カモ先生…本当に、本当に本気です…か??』

みのりさんは困ったような表情でこちらを見た。

カモ 『冗談で手を握ったり(正確には手首)、抱きしめたりしませんよっ!!』

みのりさんは黙ってしまった。周りに誰もいないせいか、二人がしゃべらないと沈黙が広がってしまう。

生温かった風が、冷たい夜風に変わっていた。

みのり『覚えていたんですね、やっぱり…。』

カモ 『あの時はごめんなさい。気持ちを抑えることが出来ませんでした。』

今更だけど、以前風邪を引いたときにみのりさんを抱きしめたことを謝った。

みのりさんは笑って許してくれた…はずっ!!(カモの主観)

二人の会話が一瞬、途切れる。

松明の炎が風で大きく揺れた。

みのり『…きですよ…私だって…私だって好きですよ!!カモ先生のことが!!』

カモ   『え…』

みのり『でも…無理なんですっ!!ごめんなさい…。』

みのりさんが突然泣き始め、嗚咽にもならないような華奢な声で謝り続けた。

みのりさんの『好き発言』にものすごく喜んだカモは、ひどく混乱した。

みのり『私、ドジでいつも怒られてばっかりだし…。カモ先生にいっぱい借金させちゃったし、与信全部使わせちゃったし…カモ先生の恋人になる資格なんてないですっ!!』

カモ 『大丈夫です、この背負った借金はこれからゆっくり返して行きますから。心配しないでくださいっ!!いざとなったら界王拳7倍(毎日当直)を…』

みのり『それは…嬉しいですけど…カモ先生死んじゃry』

みのりさんは酔っ払っているせいなのか、泣いているせいなのか、ちょっと呂律が回っていなかった(人のことは言えないけども)。

また沈黙が流れる。

カモには、みのりさんが何を考えているのか、何を悩んでいるのか全然わからなかった。

みのり『あの…考えさせて欲しいのですが…。』

カモ 『考える…ですか…』

みのりさんは自分の事を好きと言ってくれた、それは本当の気持ちなんだろうか…

カモはひどく混乱した。

カモ 『本当に自分のことが好きだったのなら、それでいいんじゃないですか?』

両想いだけど付き合えない。

大人になってからは、お互いが好きだったら当たり前に付き合ってきた。

それが当たり前になっていた。(両想いじゃなくても付き合っている邪悪な同僚もいるけども)

学生時代の甘酸っぱい恋愛を思い出した。

『友達にからかわれるから』、『友達もあなたのことを好きだから』、『両親に反対されているから』…。色んな理由で、両思いでも付き合えないことがあった気がする。

大人になることは、自由になること。自由に恋愛し、自由に別れを告げる。

それは過去を切り売りすることで、振り返らないことで得られる自由の代償なのかもしれない。

自分には、切り売りする程の立派な過去はなかった。今も過去を振り返ってばかりだった。

そんな自分に罰が当たったような感じがした。

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コメント

  1. 煌めけ より:

    おめでとうございます、とは言い切れないでしょうが、好きあっていることは確定おめでとうございます…!
    こんなにも有言実行のかも先生ならきっと障害があるとしても大丈夫ですと思います。
    気長に菅原孝標女とか待…もはや過去は見なくていっか(笑)

    • 管理人(カモ) より:

      ありがとうございます。
      続きを頑張って書いておりますので、ハンターハンターの連載くらいの感覚でぜひ気長にお待ちください。(マテ

      受験の話もしないとですね!!
      覚えているうちに書かないと忘れちゃうので頑張ります^^