#38.福岡アパート(決済編その2)

取引中のカモ

歩きながら、今日の取引のこと、そしてこれからのことを考えていた。

与信がつきた現状、これから本当に与信が回復するのかという不安…。

でも、みのりさんの前でそんな表情を見せるわけにも行かず、笑顔を作った。

銀行につくと、ニーガンと支店長が出迎えてくれた。

支店長『かも先生、いらっしゃい。』

カモ    『お世話になります。』

みのり『お世話になりまーす。』

支店長『かも先生、今回もいつも通りの取引を…と言いたい所ですが、今回はうちの銀行としても珍しい福岡の取引なので、苦労しましたよ。』

ニーガン『苦労しました。』

支店長『うん、君はほとんど何もしてないけどね』

ニーガン『…ショボーン』

いつものように、応接室に通される。今まで何度も取引をしてきた応接室。

みのり『相変わらず、このイスちょっと硬いですね^^』

カモ 『ちょww失礼すぎだろ、空気読んでっ!!』

支店長『ははっ、今度カモ先生のお金でアーロンチェア買ってもらいましょうか』

カモ 『そうですね、その時には借り換えして金利を0.2%くらいでお願いします。』

みのり『なにそれステキ♪』

そんなやりとりをしていた時に突然、カチャッと扉が開いた。

白鳥『お待たせしました、白鳥です。今日は宜しくお願いします!!』

みのりさんが一瞬複雑な表情になったのに気づいた。

カモも一瞬、どういう表情で出迎えたら良いか悩んだ。

カモ『今日は宜しくお願いします。』

白鳥『カモ先生、お久しぶりです。お元気でしたか?』

白鳥、顔は笑っていても、目が笑っていないような気がした。

カモ『えぇ、おかげさまで色々悩みながら生きていますよwww』

白鳥『それはいけない、早く悩みが解決すると良いですね!!』

カモ(今すぐこの場でこいつの首をぶっといネギでキュッってしたい…)

白鳥『みのりさん、相変わらずキレイですね。』

みのりさんは、白鳥の方を見ながら言った。

みのり『またそんなこと言う余裕があるんだったら、値段もっと下げてください( ^ω^)』

白鳥 『勘弁してくださいよwこれでも向こうの税理士さんともかなり交渉して頑張ったんですからw』

支店長が白鳥に挨拶をし、二人が名刺交換を始めた。

電話や手紙では何度もやりとりをしていたが、二人が直接会うのは初めてだった。

※支店長曰く、『この人は信頼は出来る人、ただし、カモ先生やみのりさんよりもお金の転がし方が遙かに上手いと思う。不動産屋というより、金融機関で働いている人間っぽい』ということだった。

少し遅れていつもの司法書士の先生が到着。いつもと同じ服装、同じ髪型で、いつも同じ時刻に来て、決して事前に来ることがなかった。

支店長『じゃあ、人数そろったから早速始めようか。』

カモ・みのり・白鳥『お願いしまーす。』

司法書士『はい。』

取引は淡々と進んだ。いつもと違うのは、売り主の代理人として白鳥がいることだけだった。

司法書士の先生が、説明を行う。その間にカモの口座に約5000万円くらいが銀行から振り込まれ、そして瞬時に売り主の口座へと振り込まれてアパートの名義の変更が行われた。

カモの通帳は、巨額のお金が入って(融資)、一瞬で出て行くことが多い(支払い)ので、

預金通帳『何人もの男が私の上を通り過ぎていったわ…』

みたいな状況になってます。

そして無事、決済が終わり福岡のアパートを手に入れることが出来ました。

【物件情報】

売りアパート

軽量鉄骨(築12年)

価格:5400万円

満室時表面利回り:6.1%

銀行からの融資:5200万円

金利:1.975%

管理料:3%

取引が終わった直後、リリーフランキー(支店長)に呼ばれた。

支店長『今後のプランについて話したいことがあるんだが…。』

カモ『深刻…な話ですよね、それは。』

支店長『あぁ…カモ先生にとっては深刻かな。急ぎではないから、別の日でも構いませんよ。』

カモ『あの…みのりさんも一緒に聞いてもらっても良いですか?』

支店長『カモ先生ご自身のことだから、カモ先生がOKなら構いませんよ。』

カモ『ありがとうございます。』

支店長『カモ先生のプライベートな内容ですよ。失礼ですが、彼女と交際されているのですか?』

カモ『いえ、違います。私は好きですけどもwww』

支店長『そうですか、いいですね。青春って感じで…』

支店長は遠い目をして何かを回想しているようだった。

カモ 『今後も私はみのりさんからしか不動産は買わないと思います、もし買えなくなったとしても、その事実をみのりさんには正直に伝えないといけないと思っています。』

支店長は、カモの覚悟を察したかのように、静かな口調で言った。

支店長『そうですか…では後でお話しましょうか。』

カモ 『はい、また時間が出来たらこちらから連絡して良いですか?』

支店長『わかりました。』

支店長の目は鋭くも優しかった。

応接室から出た所で、白鳥はみのりさんやニーガンと話をしていた。

白鳥『では、一通り終わったので今日はこれで帰ります。』

カモ『えっ!?もうですか?』

白鳥『はい、今日はもう1件取引があるのですぐに福岡に帰らないといけなくて。』

みのり『てっきり、みんなでお疲れ様のお食事会かと思ってました。』

白鳥『今日は遠慮しますよ、それに今日の主役はカモ先生ですから、そこまで邪魔出来ませんよ。』

意外な返答だった。普段の白鳥だったら、

『安くしてあげたんだから、それくらい接待してくれても罰は当たりませんよ!』

と言ってきそうなものなのに。

カモ(あれ?今日はえらく簡単に引き下がるな…)調子狂う。

みのりさんは少し残念そうだった。

でもすぐに笑顔になって、いつもの調子で言った。

みのり『そうですか、わかりました。じゃあ駅まで送りますよ^^』

白鳥『ありがとうございます。タクシー代節約出来ますねw』

そういって白鳥は笑っていたが、一瞬自分の方を向き、ちょっと硬い表情を見せた。

車内では、今回の物件を巡って起きた、色々なことをネタにしてみんな笑った。

地銀が二の足を踏んで、スルガにもお願いしたこと、地銀の支店同士を競わせたこと、白鳥とみのりさんが一生懸命値下げ交渉をしてくれたこと、スルガの金利がえげつなかったこと、しかも担保までえげつなかったこと、ついにかもねぎ先生の借金が1億超えたこと…。

福岡のアパート、長くかかったけど楽しかった。(最後の借金1億突破以外)

でもこれで完全に与信がなくなった…。

今後、与信の回復にはしばらく時間がかかると思う。

もうこういった楽しいことが出来なくなる。

みのりさんと出会ってから、色々物件を買ってきたけど、この福岡の物件が一番楽しかったかもしれない。

ケンカもした、勘違いもした、怖い思いもした(主にリリーフランキー)、そして自分がみのりさんが好きだと言うことに改めて気づかされた(白鳥のせいで)…。

でも、これでひとまず終わり…かな。

車の窓から見える景色がにじんで見えた。あれ?何だろう…

目頭から流れる液体が涙だと言うことに気づくのに時間がかかった。

それが涙だと気づいた時には、もう止まらなかった。

バックミラー越しに白鳥に気づかれた。

カモ(やばい、何か言われる…。)

白鳥は、何も気づいていないかのように言った。

白鳥『カモ先生、今度福岡に来ませんか?』

突然の白鳥の発言に、カモは驚いた。

カモ『え…何でですか?』

白鳥『ほら…男同士、色々あるじゃないですかwせっかくだから友情を育みましょう!』

カモ『いや、自分そういう趣味はあんまりないですし、何より怖いんですけどwww』

みのり『なになに、何ですか、二人ってそういう関係だったんですかっ!?』

白鳥『そうですよ、大人の関係なのでみのりにはまだ早いかな…。』

そう言って、白鳥はみのりさんを子供のように扱いみのりさんはそれに対して不満げな様子だった。

白鳥『飲みにでも行きましょう!カモ先生も私と話したいはずなんですけどね、大好きなみのりさんのこととか。』

カモの方に顔を近づけ、白鳥がささやいた。

カモ(白鳥、何を考えている??)

とりあえず、これは福岡に行った方が良いのか??

悩んでいる自分をあざ笑うかのように、爽やかな笑顔で白鳥は去って行った。

みのり『また福岡行くんですかっ!?』

カモ   『どうしましょうかね…。』

白鳥は、車から降りると楽しそうな軽い足取りで駅の方に歩いて行った。

白鳥の笑顔

白鳥(かもねぎ先生、君は必ず福岡に来ますよ、そういう人です)

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