#25. 白鳥への電話(前編)

白鳥とカモ

 みのりさんとのお茶会から帰って、カモネギ先生は楽しい時間を過ごせたという充足感で満たされていた。ただ、その心の片隅には飲み込めずに喉の奥に引っかかった、魚の骨のような鋭い違和感が存在していた。

 みのりさんに、『自分が白鳥さんに電話しますよ』と言ってしまったけども、何とも電話しづらい…。どうやって話を切り出そう…。

 離婚まですると宣言したが、その直後にフラれるとか、しかも 今後絶対に付き合うことはないと言われてしまうとか、自分が白鳥だったら耐えられないと思う。

 先日のカフェでは、『敗北の味を味合わせてあげますよ!!』と言ってしまったけども、まさか みのりさん直々に鉄拳制裁がくだるとは思わなかった。ある意味、白鳥さんの敗北には間違いはないと思うけど、これで良かったのだろうか…。そして、果たして白鳥さんは本当にみのりさんのことを諦めたんだろうか…。

色んなことを考えてしまい、通話ボタンを押すのに躊躇する。

『まぁ…とりあえず電話をかけてみようか…。』

悩んでいても仕方がない、みのりさんに電話するって約束したのだから。ゆっくり深呼吸をして、通話ボタンを押す。iPhoneは、話し相手の名前を押すだけで、電話がかかる便利な機能だったが、その便利機能のおかげで、白鳥の名前と向き合うことになり、それがまたカモ先生にはプレッシャーのように感じられた。

(まずは仕事の話からしよう、そうしよう)

5コール程して、白鳥が電話に出た。

白鳥『もしもし、白鳥です。』

カモ『お世話になってます、カモです。』

白鳥『カモ先生、先日はどうもありがとうございました。』

カモ『こちらこそありがとうございました。あの…サブリースの件はどうなったかなと思って…。』

よしっ!!入り方はバッチリだ。まずは第一関門クリア。

白鳥『前のオーナーとの間で結ばれているサブリースは、予定通り契約解除する方向で問題なく進んでいます。5月の決済までに契約解除の書類をご記入していただいて、契約解除になります。』

カモ『了解です、サブリース必要ないですよね?』

白鳥『あれは、前のオーナーさんが安全を重視して契約していたもので、本来は必要ないと思いますよ。あの物件であれば、必ず入居様はいますし、現に空室だったことはありませんからね。退去があってもすぐに入ってますよ。』

カモ『そうですか、それは安心しました。』

白鳥『ただ、サブリースの会社からは契約を続けて欲しいという懇願がありましたがwww』

カモ『それだけサブリース会社にとって美味しいってことですよね…。』

白鳥『まぁ…そういうことです。却下しときましたよ。』

カモ『ありがとうございます。』

白鳥『今日はそれで電話を?…ってわけでもないですよね。』

さすが白鳥、鋭い…。そして直球ですか。

カモ『みのりさんと話しました…。』

白鳥『みのりさん何か言ってましたか?』

カモ『白鳥さんと電話して、そのことを自分に話してくれました。それで心配してましたよ。』

白鳥『そうですか、それはご迷惑をお掛けしちゃいましたね…。』

カモ『それで…離婚はしませんよね?』

白鳥『どうやら離婚すると本気で怒る人がいますからね。』

カモ『それに、不幸になる人も出てきますよ。』

白鳥は少しの間黙って、そして言った。

白鳥『みのりとの電話で、自分はみのりのことを諦めないといけないと思いました。みのりにも強く言われましたし。でも、自分はみのりのことが好きで今でも正直好きです。』

カモ『奥さんよりも…ですか?』

白鳥『…。』

言わなければ良かった。

選択肢としては、

①奥さんの方が好き→じゃあ奥さんとイチャイチャしてください→解決

②みのりさんの方が好き→離婚?→泥沼

③どっちも好き→ハーレムはうらやまけしからん!!→泥沼

の3択しかなかったが、恐らくこのままだと白鳥は①を選ぶ可能性はないだろう。例え、みのりさんから、怒られた後だとしても。

沈黙がきつい。

『電波が、電波が!!』と言いながら電話を切りたいところだが、

最近の携帯電話は優秀で、どこまでも(カモの異動先の僻地病院でさえも)電波が届いてしまうので、電話を切ることは難しかった。

白鳥『カモネギ先生、こっからはプライベートの話にしていただけますか?』

カモ『先程からずっとそのつもりでしたw』

白鳥は声色ひとつ変えず続けた。

白鳥『本当は、絶対に言いたくないことなんですけども。』

カモ(じゃあ言うなよwwww)

白鳥『みのりさん、気になる人がいるって言ってました。』

カモ『ちょっwwwwww』

白鳥『もちろん、僕ではないですよ。』

カモ『そ…そうなんでうsかっ!!(動揺』

白鳥『だから諦めてくださいと言われたんですよね。』

カモ(でも、それって白鳥さんに諦めてもらうための口実なんじゃ…)

カモは思った。気まぐれ、おせっかい、そして案外一生懸命考えていたりする、そんなみのりさんのことだ、白鳥さんを諦めさせるために言った可能性も十分に考えられる。

白鳥『突然言われたので、「それは、自分を諦めさせるためですか?」って聞いてみました。』

カモ『それで、なんて言ってました?』

白鳥『え…。こっから先を聞くには、管理料を5%に上げてもらう必要があります。』

カモ『ちょwwwwおまっwwwさっきこっからの話はプライベートって言ったのにwww』

白鳥『冗談ですよwww』

カモ(冗談を言う余裕はあるみたいで安心したけども…。っていうか白鳥、管理料のこと根に持ってる…。

白鳥『それで、もしかしてカモ先生ですか?って聞いてみたんですよ。絶対に違うと思っていましたが。

カモ(おい・・・・。)

白鳥『そしたら、みのりは、

【後半に続く】

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