2年目のスタートは、急遽 国公立医学部受験コースに入ることになった。1年間の頑張りを評価してくれたチューターの配慮だったと思います。入塾手続きがすでに締め切ってしまっていたので、授業自体はやや遅れてのスタートになってしまいました。
ゲーリー『クラスのやつらの顔を見ておけ、そいつらと殺し合いをするんだからな。』
4月下旬に授業に出席し始めました。教室に入ろうとした瞬間から、今まで気にもしなかった、クラス中の人間が敵に見えた。
自分よりも若い、優れた頭脳。
小さい頃から英才教育を受けていたと思われる戦士達。
去年の受験では、自分のことしか見えていなかった。
自分だけで精一杯だった。
これが同じ土俵で戦うと言うことだったのか…。
敵の多さに、クラスを越えて日本中に存在する戦士達と自分は戦わないといけないことを強く意識するようになった。
『ここにいる誰よりも、高い点数を取る!!』
そう思いながら、新しい、そしてどこか懐かしさを覚える教室に足を踏み入れました。
去年と同じ、一番前の席に座る。久しぶりの勉強、ブランクがあるはずなのに、思いの外に頭が軽い。講師の声も、クリアに聞こえる。
医学部受験コースだったので講義自体は、レベルが高くて理解が困難だった。
でも去年初めて受けた授業よりも、わかるっ!!!
しばらく勉強から遠ざかっていたせいか、勉強に新鮮な感じを覚えた。
『また…よろしくね。』
そう声をかけて、去年1年間一緒に戦ってきた愛用のドクターグリップを握りしめた。
再び始まる1日16時間の勉強。(時間は測ってなかったけども)
不思議と去年よりも辛くなかった。面白い問題に出会うと、笑いながら問題を解くようになっていたと思う。
あっという間に 春が終わりを告げようとしていた。
5月のマーク模試では、偏差値が60を突破した。
ただし、この時期は浪人生が有利であり、偏差値も高めに出る。
現に、医学部コースの中では下から3番目の成績だった。
カモ『二人、倒した!!!!!!!』
いや、『二人倒せたっ!!!!』
このクラスにはあと、28人…。
『あと28人…倒すっ!!!』
この頃の自分はほぼ狂気じみていました。
今、思えばバクマンの新妻エイジ状態だったと思います。
引き続き、16時間以上の勉強を続けました。『16時間以上勉強する!!』というより、寝る時間以外は全て勉強に当てる、一単語でも多く覚え、一問でも多く解き、1ページでも先に進むことだけを考えていました。
ゲーリー『いいか、受験は戦争なんだよ。殺し合いだ。相手より1点でも多くとらないと、こっちが殺されるんだ。生き残ったやつだけが合格出来るんだからな。』
夏が始まる頃、クラス内の雰囲気はまるでバトルロワイヤルでした。常に相手の学力、相手の勉強量を気にして、うかがい、そして出し抜く。そんな雰囲気でした。去年までは気づかなかったこの殺伐とした雰囲気。
ただ、カモ自体はまだまだ戦力外の状態だったので、
クラスメイト『偏差値…たったの60か…ゴミめ…』
という状態で全く相手にされませんでした。当然、予備校時代には友人も出来ませんでした。クラスの中でカップルになったりする人がいましたが、私はこの時、菅原孝標の娘に恋していました。この娘、すっごい可愛いんですよ!!!いつか機会があったら、菅原孝標の娘の魅力について書こうと思っています。
話は逸れましたが、自分にはクラスの殺伐とした空気がぴったりと合っていました。
クラスのやつら、全員敵っ!!
カモはただひたすら勉強した。自習室に最後まで残り、家に帰ってからはすぐに寝て、早朝に起きて問題を解く。わからない所をその日の予備校で解決する。
ひたすら解く、解く、解く…。
『途中でやる気がなくなることはなかったの?』とよく聞かれますが、それはありました、人間だもの(みつを)。
ただ、目の前に、周囲に、全国に、狂気(やる気)を帯び、凶器(頭脳)を持ったライバル達がいました。そいつらを倒すには、遊んでいる暇はありませんでした。
ここまで来たら、もう引き下がれない。
更なる狂気を身にまとい、カモは勉強を続けた。
睡眠は絶対にとるようにとゲーリーから言われてましたが、
この頃から5時間くらいしか寝ていなかったと思います。
夏の模試でマーク模試の偏差値が60〜65になりました。記述模試では、偏差値60くらいだったと思います。
クラスメイトを何人か倒し、教室では中流〜やや下流くらいになっていたと思います。
この頃から、現代文(評論、小説)で失点しないようになってきました。ただ、どんなに問題をこなしても、前回のセンター試験国語の失敗がトラウマとなり、自信がつくことはありませんでした。この頃には、市場に出ている国語のマーク式問題は全て2周以上解いていました。センター試験(本試・追試)の過去問、共通一次試験まで漁り、マーク模試の過去問(K模試、Y模試、Z模試)の手に入る問題も全て2周以上していました。
センター試験対策、読解力対策として、国語も記述式の問題を解き、添削してもらうようになりました。医学部受験には、国語はセンター試験だけで良かったのですが、あえて記述式の問題を解き、記述対策を行いました。東大、京大の国語の問題をゲーリーに紹介してもらった国語講師の先生とワンツーマンで解いていたと思います。
夏期講習が始まる前に、
ゲーリー『全国制覇って響き、良いよな?』
カモ『まぁ…男の夢とロマンが半端ない響きですよね』
ゲーリー『お前も、全国制覇するか…』
カモ『????』
ゲーリー『全国の国公立大学の赤本解いてみよっか、英語だけで良いからwww』
カモ『ファッ!?』
ゲーリー『英語だけだって!!』
カモ『それ、よくAVとかである、先っぽだけだって!!っていうのと一緒ですよww』
ゲーリー『まぁまぁwww問題は用意してやるから』
カモ『…これ以上やると死んじゃいますよ。』
ゲーリー『死んでから考えよっか、っていうか〇ね。』
カモ『 Σ(||゚Д゚)ヒィ 』
そんなわけで、夏期講習の間の時間で、ほぼ全国の英語の記述問題を解いていました。
これも夜中にワンツーマンで教えてもらっていました。今思ったら、一番辛くて大変だったのはカモ自身ではなく、夜間に、無報酬で、しかも受かるかどうかもわからないカモの勉強に付き合わされたゲーリー自身だったと思います。この夏、ぶっ続けで問題を解いていたので、睡眠時間は4時間弱くらいでした。朝に解答をゲーリーに提出し、夜までに添削され、夜中に指導を受け、帰宅するといった感じでした。
夏期講習が終わり、朝の空気が秋の匂いを帯びる頃には、ほぼ全国の主要な国公立大学の英語の問題を解き終わっていました。
秋頃にあったマーク模試では、平均偏差値68。
記述模試では偏差値65くらいになっていました。本当は必要ない国語(記述)の偏差値は68くらいでした。模試の成績優秀者の最後の方のページにひっそりと名前が載りました。認められた気がして、すごく嬉しかった。その一方で、高校生や浪人生に紛れて無駄に年齢を重ねた自分の名前が載ってる事実に気づき、恥ずかしい気持ちにもなりました。
この時、クラスの半分以上が、自分よりも下に位置していました。それでもなお、上層部は盤石でした。常に偏差値70をとり続けている人達…。
『こいつらを倒さないと受からない』
焦る気持ち、不安な気持ち、そんな気持ちもありましたが、何よりも感じたこと。
『トップ集団を捉えた!!』
正確には覚えていませんが、この頃から、センター試験満点を強く意識するようになりました。
秋が深まる頃には、指導してもらっていた先生に歯向かうようになっていました。
カモ『先生の書かれている この部分は、客観性がないですよww』
国語講師『はぁ?wwくそ生意気な態度をとるようになりやがって…お前、去年まで ‘客観性’ って言葉も知らなかったくせにww』
そう呟いた国語の先生を見て、ゲーリーは嬉しそうに笑っていました。この頃、そのゲーリーの英語も熾烈を極めて来ていました。英作文が思ったより苦戦していたのです。
英作文の作り方は、
①問題文の日本語を読んで理解する。
②英作文にしやすいように日本語を置き換える。
③柱にする重要な構文を選び、それを大きな幹とする。
④知っている文法を使って枝をつけ、単語で葉っぱをつけ、大きな樹を描いていく
⑤出来た文章を見ておかしい所がないか確認する。
という作業になることをゲーリーから教わりました。
しかし、この作業に思った以上に時間がかかったのです。スムーズに、流れるように英作文を作ることが、なかなか出来ませんでした。そのため、空き時間を見つけてては、ひたすら英語を組み立てる作業をし、それを全てゲーリーに添削してもらっていました。
数学、化学、生物、地理…他の科目の勉強も大量に襲いかかってきたこともあり、あっという間に冬が来ました。正直、秋と冬の区別がついていませんでした。最後のマーク模試と記述模試。ここで事件が起きました。
マーク模試:偏差値 70突破。
記述模試:偏差値75突破。
最後のマーク模試・記述模試。最後の最後で、クラスのトップに躍り出た。
成績優秀者の冊子に自分の名前が載った。しかも1ページ目に…。
田舎の公立高校の名前が、灘高校や東大寺学園に挟まれて載っている。
すぐに、ゲーリーと国語の先生に報告しにいった。
ゲーリー『ばーか、こんなん練習だろwww喜びすぎwww』
国語講師『っていうか、英語と国語の偏差値やばくね?wwこの校舎で初めて見たww』
二人とも、喜んでくれた。
チューター『まさか、本当にクラスの頂点とってくるとか…。テスト問題盗んでない?ww』
カモ『ひでぇwwwww』
ゲーリー『俺たちだったら、事前に問題もらってもこんな点数取れないだろwww』
いつもの声、いつものイジリ。
ゲーリー『カモ、よく頑張ったな…。』
あれ?褒められたwwww
やっと、ここまできた…。
これでやっと戦える…。
一瞬、身体がふわっと軽くなり、全身の力が抜ける感じがした。
・・・・・・。
カモの体を支える、軽く色の入ったサングラスをしたゲーリー…。
なんでそんな慌てたような顔してん・・。
…ん?…ゲーリーが何か言ってる…?
何でそんなに怒ってるの?俺、頑張ったでしょ?
なんかすごい人集まってるけど…。
この時、私は講師室で倒れていた。
コメント
続きも物件も気になって仕方ないですが菅原孝標女についても超絶お待ちしてます!!!
更級日記に興味持ってた昨今でして、たのしみすぎます。
コメントありがとうございます。
菅原孝標女には、本当にお世話になりました(意味深)。
夢見る少女の病・・・描写は本当にありありとしていて、ムラムラします(マテ
ぜひ書かせていただきます、ドン引きしちゃうかもしれませんがwww