失踪中、公園や図書館、本屋、ゲームセンターなどを徘徊していました。
夜は漫画喫茶に泊まりました。区切れられた空間の中で、ただひたすら漫画を読んだり、雑誌をパラパラめくったりして過ごしました。今考えてみると、この時が私の人生で初めての挫折でした。当時はそんなことさえ気づけないほど余裕がありませんでしたが…。
漫画を読み終わると、現実に戻されたような感覚がして、もう一人の自分が、私を責め立ててくるような感じに襲われました。ゲーリーやチューターからも電話がひっきりなしに掛かってきましたが、でられませんでした。
そんな失踪生活も、お金がすぐに尽きたことで断念せざるを得ず、4月の下旬には実家に帰りました。実家に帰って、両親に再度謝りました。受験に失敗したこと、そのままいなくなってしまったこと。連絡もとらず心配をかけたこと。勝負に負けたのに、ダラダラと生きてしまっていること。
『大丈夫。』
母親のその一言を聞いた瞬間、私は母親の前で、大泣きしてしまいました。死ぬ気でやったけど、全然合格に届かなかったこと、今まで不真面目に生きてきた後悔、全部ぶちまけて泣きました。母親は黙って聞いてくれていました。
実家に帰ってから1週間ほど経って、僕はもう死のうと思っていました。勉強するわけでもなく、楽しいことがあるわけでもなく、未来があるわけでもない…。長い夢から覚めたような、ふわふわした精神状態でした。
受験勉強に明け暮れた日々。辛かったけど、楽しかった。
もう…何もない…。
どうやって死ぬか、いつ死ぬかを漠然と考えながら過ごしていました。
そんな中、ある日、普段はほとんど話さない父親に呼ばれました。
父『俺はな、昔から走り屋としてのプライドが高かった。走り屋なんて、うるさいし、危ないし、金かかるし、今はもう流行りじゃないけどな。それでも自分の走りには自信を持ってた。誰よりも早く走りたい、走れると思ってた。例え相手が自分の乗っている単車より性能が良かったとしても、絶対に負けたくなかった。』
久しぶりに、まともに言葉を交わす父。白髪が交じり、声も少し小さくなっているような気がした。
父『俺は、頭が悪いから勉強も出来なかったし、しなかったよwwだから医学部なんてわからん。お前がどんなところに挑んでいるか、それがどんな戦いなのかわからない。ただ、お前が挑んでいる相手がやばいというのはわかった。単車で言うと、向こうは750ccの刀で、お前はDioあたりかwww』
カモ『うん・・・・。もしかしたら初代カブくらいかも…。』
父『カブを馬鹿にするな!あれは名車だ!!』
カモ『そこかよ…。』
父『でも走りじゃカブで勝てるはずないだろww勝てるのは新聞配達くらいだぞwww』
カモ『おまっwwwディスってるじゃないかwwww』
父『いいか、エンジンを載せ替えろ。』
カモ『??』
父『もう1年かけて、最高のエンジンを積んでこい。いや、車体ごと交換してこいww』
カモ『意味がわかんないんだけど…。』
父『医学部、行きたいんだろ?』
顔『う・・・うん。』
父『もう1年、予備校に行って勉強し直してこい!!』
カモ『でも、もうお金もないし、年齢的にも厳しいと思う』
父『お金は心配するな!!ここに150万ある。』
カモ『え?なんで?余裕ないでしょ?』
父『バイク売ったwwwwww』
カモ『はっ?まじでっ!?愛車大事にしてたのに??』
父『保険も解約したwwww』
カモ『えっ!?』
母『えっ!?』
父『とりあえず、ヤレよwwwwどうせ人生は1回きりだwwバイクはいつかまた買うわwww』
母『まぁ…どうせ死ぬわけじゃないし、いざとなったらみんなで生活保護受給しましょwwっwその前に仕事先からお金を着服しないt』
父『それはやめろっwwww』
カモ『この家族、やべぇ……』
父『でも、ここまで全部かけちゃうと、脳から変な汁出ちゃうなwww』
母『ちょっwwおまっwwっw』
久しぶりに笑った。救われた気がした。
生きてても良いんだと思った。
この人達は自分に賭けてくれたんだ、自分達の子供に、自分達の未来と現在を。
そんなわけで、理解のあるのか ないのかわからない超低学歴な両親により
カモ、人生をかけた第二ステージ開始。
コメント
泣ける上に笑いどころもあってさいこうです。楽しみをありがとうございます。
いいお父さんww w w
とか力が抜けますけどほんと大変な頑張りで…すごいです
ありがとうございます。
小中高校と本当頑張ってなかったので、すごく苦労しました(´;ω;`)ブワッ
我が家の両親の(恥ずかしい)エピソードはまだまだたくさんあるので、また書いていきますwwww
先生の過去にこんな大変なことがあったとは思いもしませんでした。
ほんとに大変なご苦労をなさってたんですね、読んでて泣きそうになりましたよ。
現在編ももちろんですが、過去編の更新も楽しみにしてます!
ありがとうございます。
自分も書いてて泣きそうになってます、色んな意味で( ;つД`)ブワッ
中二病と黒歴史の塊が今後も続きますので、何卒宜しく御願い致します。