#−6.地獄の予備校時代

かもねぎ先生フリーター

 4月から始まる授業の前に、チューターによる課題が大量に出ました。内容は、中学生のテキスト、英単語の本(中学生レベル)でした。授業が始まる前に、必ずやっておくようにと言われたので、ひたすら問題をやりました。恥ずかしい話ですが、講師に教わる前に、こっそりチューターに勉強を教わっていました。

チューター『三角形の内角の和は、180度なの!』

カモ『内角?内角高めとかですか?』

チューター『SHINE!!!』

そんな感じだったと思います。(もっとひどかったかもしれませんが)

 

 勉強時間については、はっきりと覚えていませんが、寝ている時間、ご飯を食べている時間以外は勉強をしていました。途中からトイレに行くのもめんどくさくなってペットボトルを(以下略)。

 予備校が始まるまでは、わからない所が貯まったり、問題集が終わったりした時に予備校に行き、チューター会っていましたが、それ以外は基本的にずっと実家で引きこもっていました。

 集中するために、クローゼットの中に、机と座椅子、デスクスタンドを持ち込んで勉強しました。一日中、独語しながら病的に勉強していたので、両親は私が何かしら発症したと思っていたとのことです。『突然大声を上げたり、ゲラゲラ笑っていた時は怖かったし、壁をドンドン殴っていた時はマジで通報しようかと思った』と母親から後で聞きました。

 そしてとうとう 4月から予備校の授業が始まりました。授業は一番前の席で受けると決め、必死に授業にくらいつきました。正直全然わかりませんでしたが(笑)。授業の後に講師の先生にわからないところを質問しに行きましたが、質問が基本的過ぎて、先生も『こいつやべえ』と思ったと思います。微妙に年くってましたし(笑)。

 

 そんな中、ゲーリーというあだ名で呼ばれていた英語の先生が、『お前みたいなやつが医学部受かったら、まじ面白いから頑張れwww』って言ってくれました。ゲーリーは、私に色々教えてくれました。『学力中学生レベルのヤバイやつが医学部志望で来ていて、講師の中でも噂になっていること』も、この先生から聞きました。

 英語の勉強方法だけでなく、基本的な受験生の勉強法も教えてもらいました。英単語も1日100個、紙に書いて覚えました。1単語につき、3行英語の綴りと日本語の意味を繰り返し書きました。ひたすら、ひたすら…。生物がわからないと言ったら、自分の取っているコースではない、空いている生物の先生を紹介してくれたり、数学の先生を紹介してくれたり…。

 1日16時間くらい勉強し始めて3ヶ月ほど経った時、変化が出てきました。明らかに、勉強のスピードが上がってきたような自覚がありました。『いけるかもしれない!!』そう思い始めてカモですが、5月の終わり頃にあった模擬試験で、再度地獄に突き落とされることとなります。

5月の模試『小僧ぅっっ!!!!!付け焼き刃の受験勉強、決して私に通用するなどと思うな!!!!不快だぁあああああああ!!!』

怒りの5月模試

と、ピンポンの中村獅童ばりに言われた気がしました。

偏差値は平均40台。絶望的です。

特に国語の古典・漢文が足を引っ張っていました。

こいつら…どう見ても外国語だし…。

カモ『チクショーかっちブーだな、マーク模試てめえ。愛してるぜ。』

 

 5月マーク模試の結果を受けて、ゲーリー(講師)とチューターから『古典・漢文の単語も英単語と一緒にやれ』という指令が出ました。ただし、『睡眠時間は絶対に削るな』と。

もう削る時間がない…。

悩みに悩んで、最終的に至った結論。

この時から自〇行為を削りました。

(っていうかやってたのかよっ!!っていうツッコミはなしで)

この時から、常に何かがみなぎるようになり、

あの苦手だった古典で、ムラムラするようになりました。

あるはずのない、武将と淑女の絡みシーンとか、

会いたいのに会えない、だから一人でします!!的なシーンを勝手に妄想するようになり、古典が楽しくなってきました。

その時、使用した参考書が『荻野式古典』でした。

この本の中で書かれている先生の下ネタにもお世話になりました。

※今思うと、心の病気だったと思います。

 そんな感じで一日中、勉強だけをする生活を続けました。

春から夏になり、その夏が終わる。普段は嫌と言うほど感じていた、あの心が騒ぐような季節の移り変わりも 感じることはありませんでした。単語カードをめくったり、一問一答の問題を解いたり、英単語のCDを聞いたりして過ごしていたため、予備校への通学中も、日光の明るさや雨上がりの澄明な空気などを感じる余裕がありませんでした。

ただ、すれ違う女子高生は眩しかったです!!

 当時のK塾には、夏までの成績を考慮して、秋にコース変更をするという制度があったのですが、カモの学力はまだまだ低く、成績は高性能レーダーでも捕捉されないくらい低空飛行であったため、医学部コースには入れませんでした。私立理系コース?みたいなコースに入ったと思います。ちなみに、この時は偏差値50台にのった!!って感じでした。

 秋に入っても、勉強のペースは変わりませんでした。ただ黙々と、一途に勉強に取り組みました。この頃、ゲーリーや他の講師から褒められることが多くなり、勉強が楽しくなっていました。

秋頃から、本格的にマーク模試の過去問を解き始めました。K塾、Yゼミ、S台予備校のマーク模試を購入し、時間を測って解きました。その後、解説を丁寧に読み込み、暗記していきました。

間違えた問題はポストイットなどを使って印をつけ、電車で読み直したり、空き時間に解き直したりしていました。成績が少しずつ伸びているのを感じ、自分自身でも賢くなっているような、成長している感じがしていました。ただ、この頃から自分が戦おうとしている相手、すなわちセンター試験、二次試験がどれだけ強いのかを思い知ることとなってきました。強くなって初めて相手の強さがわかる的な…。医学部受験という化け物が、いかに化け物じみてるかこの頃から痛感するようになりました。

決定的だったのは、センター試験についての認識の誤りでした。センター試験90%という数字、予備校に入る時には、『9割解ければ良い』と考えていましたが、大きな誤解でした。

『センター試験9割=センター試験満点狙い』

ということが判明したのです。つまり、正解率9割狙いで行くと(10%を切り捨てるつもりでいくと)、その結果として、8割になってしまいます。満点狙いで行って、その結果、わからないところやイージーミスがあって、9割になるのです。9割狙っていたら、9割取れないことに気がつかされました。

この頃から、危機的な焦りが出てきました。夢の中でもセンター試験のことを考えていました。現代文を解いてて、あと10分しかないのに、古文・漢文に取りかかっていない、古文・漢文の解答用紙が白紙みたいな夢。そこで慌てて飛び起きて・・・。夢だったことを確認して、安堵する。それと同時に、『古文・漢文』やらないと…と思い詰める。悪夢による中途覚醒により、だんだん睡眠の質が悪くなっていきました。

予備校の授業中、ひどい眠気が出るようになりました。コーヒーや栄養ドリンクを飲んで目を覚ましました。それでも眠いときは、定規で皮膚を引っ掻いて痛み刺激を加えたり、シャーペンで前腕や大腿を刺したりして目を覚ましていました。

チューターに相談すると、『不安に勝つためには、努力しかない』『ここを乗り越えられるかどうかが、受験に勝てるかどうかだ』みたいなアドバイスをもらいました。

ゲーリーに相談すると、

『いっちょ前に、不安を感じる時間はあるんだな?お前はそんな時間さえもないと思うけど?』

『お前はそもそも不安を感じて良いポジションにいない、その土俵にすら上がっていない。』

『不安を感じている暇があったら、一語でも覚えろ、一問でも解け、一歩でも前に進め。』

今思い出しても、この人鬼畜だなwwwwって感じですが、この言葉を聞いて、ゲーリーに詰められてから、何かが吹っ切れた気がしました。

悩んでる暇があったら、一歩でも前へ…。

一歩でも前へ。

一語でも多く、一問でも多く。

反応、反射、音速、光速!!

反応、反射、音速、光速!!

もっと前へ!!

寒い冬も、ほぼ室内にいたため、季節感なく過ごしました。ただひたすら解きまくっていました。不安が生じるスピードよりも速く、睡眠の途中で起きてしまうことがないほどの疲れを抱えて…。

冬の模試では、マーク模試の偏差値は平均58くらいでした。

記述模試は、偏差値56くらいでした。

この成績をもってしても、医学部コースには入れない感じだったと思います。

センター試験を控え、直前講習が終わった時、ゲーリーは言いました。

『カモ、お前は本当よく頑張った。1年経たない短い付き合いだけども、なんかすごく濃い時間を過ごしたな…。でも俺の見立てでは、お前は必ず落ちる。出来れば、もう1年戦って欲しい。もう1年あれば、周りのやつらと同じ土俵で戦えるから。』

ゲーリーの目は笑っていたが、その眼鏡の奥には、いつもと違って、やりきれないような表情をし、涙ぐんだ瞳がカモを凝視していた。

『ありがとうございます。この1年弱、本当にお世話になりました。もう1年……。でも僕にはもう 時間もお金もないので。これで最初で最後にしようと思っています。当初は、見返してやろう、ギャフンと言わせてやろうと思って始めたことですが、今は違います。ぶつけてきたいです、この1年間を。そして辛かったですが、楽しかったです。』

ゲーリー『俺はな、受験に奇跡は信じてない。講師が奇跡を口にしたら終わりだと思っている。』

カモ『はい…。』

ゲーリー『でも、正直お前には奇跡でもなんでも起きて受かって欲しいと思ってしまう…。』

カモ『頑張ってきます。』

ゲーリー『行ってこい!!』

カモ、1年間の予備校生活を終え、出陣。

カモ、センター試験を受けに行く。

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