#98. 福岡、再び(その5)

不動産投資はじめました

福岡から帰ってきたカモ先生は、早速メインバンクの地銀の担当者に連絡をとった。

カモ『融資ください!!融資っ!!』

地銀の担当者、ニーガン。いつも野球ばっかりしているせいで年中日焼けしていて、いつみても健康そうな青年はいつもカモ先生の被害者だった。

ニーガン『カモ先生、落ち着いてください。どういうことですか??』

カモ『そろそろ与信回復したでしょ!?ローンも毎月いっぱい返してますし!!』

ニーガン『確かにそうですけど…』

カモ『ニーガンさんが野球している間も、僕は頑張ってローンのために働いてたんです!!もう、与信も回復しましたよね??』

ニーガン『ひどい言い方www確かに野球ばっかりしているけどwwww』

カモ『とりあえず、すごく良い物件を見つけたので、融資の相談させてください』

ニーガン『えっ…もう見つけているんですか??』

カモ『そうです!!見つけているどころか、もう買付出してきました!!

ニーガン『ちょwwwww早すぎでしょwwww』

カモ『しょうがないんです!!そういう流れになっちゃったんですから!!』

ニーガン『どういう流れですかwwwそもそもカモ先生、いつもそんな感じじゃないですか…

カモ『うっ…(動悸』

ニーガン『そもそもいつも軽いノリでローン特約付けて買付出しまくって、通帳を記帳する感覚でローン特約を使わないでください!!』

カモ『うっ…(激しい動悸』

ニーガン『わかりました、とりあえず物件のこともありますし…支店長にお願いしますか…』

カモ『安心してください!!支店長にはすでに物件情報をFAXしてます!!』

融資のお願いなんて、これまで何度もしてきたせいで、すでに手慣れていた(ほとんど融資には至っていないけども

ニーガン『早すぎでしょ…』

カモ先生の地銀の担当者ニーガンは苦々しい顔をしながら言った。

本当、ニーガンにはいつも苦労をかけて申し訳ないと思っ…っていたのは、とうの昔の話で、今は罪悪感の欠片もない。まぁ、いつものことだったし…。慣れって怖い。

ニーガン『すでにFAXしてるとか…はぁあ…』

って大きいため息をつきながら、ニーガンは支店長を呼びにいった。

まるでロールプレイングのラスボスのように、支店長がゆっくりと階段から上がってきた。

支店長『カモ先生、以前、県外の物件は最初で最後って言いましたよね??』

支店長と目が合うよりも早く、カモ先生に鋭利な刃物のようなセリフが言い放たれた。

カモ『言った!!ただし今年で最後って言いました。一生で最後とは言ってません!!』

支店長『何そのカイジの利根川みたいなセリフ…』

支店長の鋭利な言葉さえも、カモ先生には刺さらない。だってもっとぶっといロンギヌスの槍が(ガッキーによって)カモ先生の心臓に刺さっているのだから。

カモ『もう与信も回復してるはずですよ!!』

ニーガン『カモ先生…本当、健気に働いてますもんね…』

年中真っ黒に日焼けした銀行員に、憐れみの目で見られてカモ先生の心がグサッと痛んだ。

支店長『融資くれって言われても、金融庁から色々言われててね…収益目的の融資は正直好ましくないんですよね…』

カモ『好ましくない…』

支店長『地主さんが相続目的でやるのはOKなんですけどね』

カモ『生まれ変わったら地主の息子になる予定なんですけど…』

支店長『じゃあ生まれ変わったら、また来て下さい』

カモ『つらい…』

支店長『残念ながら、私たちがオッケーしても本部の融資部で落とされますね。支店のない県外の物件は、私の目が黒いうちは無理って言ってたそうですし』

カモ『それはつまり…殺せってことですか??』

支店長『なんでだよwwwwwwwwww』

ニーガン『バット貸しましょうか??』

ニーガンは嬉しそうに支店長をみつめた。

支店長『俺が殺るのかよ!!』

支店長『ちなみに、この物件の資料見させてもらいましたが、いくつか気になる点がありました。このアパートを最初建てた時の借り入れ額が少ないのと、設定額が低いんですよね…。どういう経緯で建てられたんですかね?』

カモ『土地は自己所有だったそうで、それにアパートを建てた感じです。当時は建築費用も安かったし、何より木造なので安く建てられたそうです』

支店長『そこなんだよね、福岡の少し外れた場所、築最近30年くらいの木造アパートがちらほら売られ始めたらしいんだよね』

カモ『でもここは駅からも近いですし、ずっと満室経営で来てます!!』

支店長『うんうん。あと融資部からの返答なんだけどね、県外物件は最初で最後って言いましたよね案件は置いといて…カモ先生にお伝えしたいことがあるって…』

カモ『えっ…本部の融資部って僕のこと根に持っ…覚えてるんですか?』

支店長『カモ先生は…ほら…急激にローンを増やしている要チェックリストに入ってるからwww』

ニーガン『それ…ブラックリストっていうやつでは…』

支店長『言い方ってやつだね』

カモ『言い方wwwwwww』

支店長『それで、融資部の意見はね、物件単体で回るかどうかが最重要だって。持ち物件の合算じゃなくて、物件単体ね。この場合このアパート単体でってこと』

カモ『それなら問題ないんじゃないですか?表面8%ありますし、多少空室出てもキャッシュフローは黒字だと思うんですけど』

支店長『それがね…うちのストレステストは稼動率50〜60%くらいで計算するみたいなのwww』

カモ『何その禿げ上がるほどのストレス…』

支店長『県外の物件だからっていうのもあるかもしれないね』

カモ『そんなストレスかけたら、ほとんどの不動産投資死にますよwww』

支店長『うん』

カモ『ちなみに、そのストレステストに合格する物件って今の市場にあります??』

支店長『うん、ないね(キッパリ』

カモ『ですよねー(棒』

支店長、カモ先生、ニーガンが沈黙した。

支店長『今の状況だと、銀行側は融資をすべきではないという結論になるね』

そういうことだった。

そっからはどんなに押しても、融資は全然ダメだった。そもそも本部の融資部がダメって言ってる以上、支店でどれだけ頑張っても意味がないとのことだった。

支店長『まぁ…それでも融資をって言うのであれば、現金1,000〜3,000万円は必要ですよ、やはり』

カモ『つらい』

ニーガン『カモ先生、元気出してください、ほらっ、キャッチボールでもしに行きましょう!』

落ち込むカモ先生を見ていたたまれなくなったニーガンが言った。

カモ『おまえはサザエさんの中島かよwww』

ニーガンはニーガンなりの優しさをカモ先生に見せてくれたんだと思う。

本当相当不器用な人だなと、ちょっと思った。

カモ(今回も融資はダメだった…)

そう思って帰ろうとした時、支店長がおもむろに口を開いた。

支店長『カモ先生、良い方法があるんだけど…聞いてみるかい?』

カモ『???』

支店長『カモ先生、ずっと前に1法人1物件スキームやりたい!!って言ってたでしょ??』

カモ『うっ…』

前にっていうか、ずっと言ってるけどもwwww

カモ『じょ…冗談ですよwwwwそんなこと本気で考えるわけないじゃないですかwww』

ニーガン『なんですか??一法人一物件スキームって??』

支店長『物件と法人を1対1で対応させる、つまり物件ごとに新しい法人をどんどん作って別々の金融機関からガンガン融資を引っ張る方法だよ』

ニーガン『そんなのして良いんですか??』

支店長『まぁ…基本的には御法度だね』

カモ『そんなの支店長が勧めたら、首になりますよwww』

支店長『確かに首飛んじゃうねw』

支店長『でも…』

カモ『でも??』

支店長『1つだけだったら問題ない』

カモ『1つ…だけ???』

支店長はゆっくりとカモ先生の目を見て話した。

支店長『しかもちゃんと実態がある会社。カモ先生が会社を作って、その会社で融資を引っ張れば良いんだよ』

カモ『それはつまり…』

支店長『カモ先生が新しく会社を作る、別会計になる、融資下りる、そんな感じだね』

カモ『しゅ…しゅごい!!!』

ニーガン『法人だったら名義が違うので個人の負債は関係ないですね!!』

カモ『そうか!!っていうことは県外の物件もまたイケるかもしれませんね(反省なし』

支店長『ほら、なんとかなりそうでしょ??』

支店長とニーガン、カモ先生はすでにノリノリだった。

ただ、1つ気になることがあった。

カモ『あの…ひとつ聞きたいことがあるんですけど…』

支店長『なに??』

カモ『法人作って借金リセットする雰囲気はわかったんですけど…法人作るからには利益上げないといけないのでは…??

法人、つまり会社を作るということは、会社という形で儲けないといけないということを意味するはず。

支店長『それは当たり前だよ〜♪』

支店長が急に気持ち悪…優しい口調になった。

カモ『ですよね…でも誰がどうやって儲けるんですか??』

支店長『それはカモ先生が働いてだよ♪』

カモ『ですよねーーー!!!(血涙』

支店長『しかも病院からもらう給料ではなくて、法人としてお金を稼がないとね♪』

カモ 『すいません、これ以上働いたら死んでしまうんですけど…』

ニーガン『氏ねってことだよ、言わせんな恥ずかしい(AA略』

カモ『ちょっとニーガンは黙ってて』

なぜかニーガンに言われるとイラッとした。僕が茂野吾郎だったら、間違いなくニーガンに向けて100マイルのジャイロボールを頭部めがけて投げ込めるのに…

支店長『大丈夫、僕はまだカモ先生が頑張れるって信じてる』

カモ 『いやいやいやいやいやいや!!』

この人(支店長)何言っちゃってんの??

お金扱い過ぎて人間性換金してない??

支店長『とりあえず、作っちゃお♪』

カモ 『無理無理無理無理かたつむりだって!!!!』

もうこれ以上働くのは、『絶対無理・死ぬ』そう思っていた。

そう思いながら、カモ先生は毎日毎日堪え忍んでいた。

支店長『カモ先生…法人作って融資復活したら、ガッキーさんの家買えちゃうカモよ??

カモ『……い…家??』

支店長『カモ先生の…ずっとずっと目指してた夢、そして目標でしょ??』

カモ『( ゚д゚)ハッ! 』

志した〜掴みたい夢があるから〜

燃やしてゆ〜け〜、情熱を熱〜く〜

伊藤祥平さんのDream of Lifeという曲が頭の中でBGMのように流れた。

カモ『僕…法人…作ります』

支店長『え??もうちょっと大きい声で言って??』

カモ 『僕、法人…作ります…』

支店長『もっと大きい声で!!』

カモ 『僕、法人作りますっ!!!!』

支店長『Yeah!!!!!!』

カモ 『Yeah!!!!!』

支店長とカモ先生はガッツポーズをして、そして硬く手を取り合った。

ニーガン(うわぁ…)

それを横で見ていたニーガンは間違いなくドン引きしていた。

支店長『はい、これ司法書士さんの連絡先ね!!連絡してアポイント取って』

そう言って支店長は小さな用紙の切れ端をカモ先生の目の前に出してきた。

カモ 『えっ…もう用意してたんですか…』

支店長『まぁ…いつかこうなると思ってたしね…』

カモ (この人、どこまで計画的なんだ…)

支店長『これ、僕の友人だからきっと良くしてくれると思うよ』

カモ 『反社じゃないですよね??』

支店長『多分、大丈夫wwww』

カモ 『多分wwwwwwww』

こうやって、与信がなくなったカモ先生は、法人設立という禁断の果実に手を出すことになりました。

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