#97.福岡、再び(その4)

杏仁荘

お店に入ると、油でしっかりと馴染んだ床が広がり、少し歩くと部屋中に中華の香りがした。スーツで白鳥さんのスーツに似合わない外観だった。

カモ『ここ、美味しいんですか??』

白鳥『美味しいんですよ!!僕はいつもここでお昼食べてます!!』

そう言って、一人ガンガン進んで、一番奥の席の前で無邪気にこっちを見て言った。

白鳥『店員さーん!!担々麺と、チャーハン、そして餃子を3人分ずつ!!』

カモ達にメニューを見せることもなく、いきなり3人分を注文した。

なんて不動産屋らしい、積極的な注文方法。

席について、カモ先生が馬車馬のように、ネロと出会う前のパトラッシュのように働かされていることを喋っていると、すぐに料理が出てきた。

白鳥『では、いただきましょう!!』

カモ・みのり『いただきまーす』

ずるずると麵をすする。

麵に濃いスープが絡んで、同時に口の中、鼻腔いっぱいに胡麻の香りが広がった。

白鳥『いやー、相変わらず美味しいですね!!カモ先生、どうですか??』

担々麺はお世辞抜きで美味しかった。

カモ『美味しいです!!』

白鳥『そうでしょう!!ここのスープは絶品で、働いても、働いてなくても美味しく食べられるんですよ!!』

みのり『働いてから食べましょ♪』

白鳥『おっとそうでした、でも大丈夫です!!今日は大きな商談があるんですから!!ビッグビジネスですよ!!』

カモ『目の前にいる人が物件を買わされるんですよね、わかります』

みのり『カモ先生おもしろーい( )

はっきり言って、全然面白くない。また借金が増えるのだから。

でも、みのりさんはすごく楽しそうだった。その笑顔をみると、いつも自分の借金なんてどうでもよくなってしまう。戦場で被弾してモルヒネを投与される戦士の気持ちって、多分こんな感じなんだと思う(謎

ほぼ3人同時にラーメン、餃子、チャーハンを食べ終わる。驚いたことに、みのりさんも完食していた。

カモ『みのりさん…さっきどら焼き食べてたのに…』

みのり『中華は別腹です(`*)

カモ『何そのメタボ界の帝王みたいな発言…』

白鳥『カモ先生、足りましたか?』

カモ『お腹いっぱいになりました!!』

みのり『私もお腹いっぱいで、もう動きたくないですぅ…』

白鳥『ははは、実は僕もお腹いっぱいになりました…もう動けません!!』

そう言うと、二人は何やら視線を合わせた。

みのり『もう…決めちゃいましょっか…』

カモ『えっ!?何言ってんの??』

キメちゃうって聞こえたけど、キメルって何??お薬的なやつ??

みのり『もう…他の物件行かなくても良くないですか??』

白鳥『もう、お腹も膨れたし、あの物件で決めちゃいちゃいましょう!!』

みのり『さんせーい!!』

カモ『待てコラ(怒』

二人揃って『決めちゃいましょう』とか、ある意味すでに何かキマってるだろwっww

何??ここの担々麺、そんな効果ないよね??

カモ『みのりさん、そもそも借金増えたらまた物件買えなくなりますよ…』

みのり『大丈夫ですよ!!さっきの物件、本当に良いと思いますよ<笑顔>』

カモ『なにそのよく分からない自信…』

みのり『囁くんですよ、私のゴーストが…』

カモ『お前のゴースト、白鳥にハックされてるからwww』

白鳥『まぁまぁ、カモ先生』

カモ『何がまぁまぁだよwwww現在進行形で5,200万円くらいの買い物が決まろうとしてるのにwww』

白鳥『あんなにイヤらしい目でアパートをネチネチ見たじゃないですか』

カモ『すいません、さりげなくdisるのやめてもらえますか』

みのり『大丈夫大丈夫、いつものことじゃないですか(´∀`*)ウフフ

カモ『大丈夫じゃないwwwwしかも物件買うのは久しぶりなんですけどー!!』

白鳥『カモ先生、福岡まではどうやって来ました?』

カモ『は…白鳥さんのおかげで…』

白鳥『今日伊都キングのどら焼き、いっぱい食べましたよね?』

カモ『それはほぼ全てみのりさんが…』

みのり『カモ先生、ご馳走様でした』

カモ『Σ(゚ロ゚;)ご馳走様って何っ!???』

よくわからない、どうして福岡でまたアパートを買わされようとしているのか…。

白鳥『カモ先生…弁護士ドットコム…儲かってますよね…』

カモ『わかりましたわかりましたわかりましたわかりました』

福岡旅行、トラップ多すぎだろ…

カモ先生は普通にみのりさんと福岡旅行を楽しみたかっただけなのに!!!!!

そう思いながら、ちらっとみのりさんの方を見たら、笑っているみのりさんと目が合った。

みのり『カモ先生、美味しい杏仁豆腐食べたいです♪』

カモ『Σ(゚ロ゚;)は??こいつ何言ってんの??』

頭おかしい

白鳥『良いですねっ!!美味しいお店ありますよ!!』

カモ『Σ(゚ロ゚;)は??お前も何言ってんの??』

みのり『レッツゴー!!』

カモ『お前ら…』

そんなノリと勢いで福岡のアパートの購入が決まった。

そして何故かその担々麺屋でアパートの買付証明書を作成した。

担々麺を食べて、買付証明書を作成するとか…ルノワールもびっくりだよ!!!

作成したばかりの買付証明書を受け取った白鳥は、満面の笑みを浮かべているかと思ったら、何故か真面目な顔でカモが書いたばかりの買付証明書を見つめていた。

不動産投資は、登記が完了するまで決まらない。

そう、一番の問題は融資(与信)だった。

恐らくこの時、白鳥には見えていたのかもしれない。これから起こるカモ先生の絶望生活が。

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