#95.福岡、再び(その2)

いいね!!

また…福岡に来てしまった。

福岡は冬でも活気があった。カモ先生の住む田舎地方は、第一次産業(農業・漁業)が盛んなので冬は閑散としていた。福岡に来ると、人の多さだけではない、何か別のエネルギーが街中に満ちているような感覚に襲われる。

福岡のゴリラ

博多駅につくと、いきなりゴリラに出迎えられた。

不動産投資をやっていると、なぜかゴリラ、特にツーブロックゴリラに敏感になる。

敏感というか、どっちかというと飲み会で暴飲暴食をした翌日の胸焼けのような感覚。

みのり『早速、行きましょう!!』

カモ『ですね!!』

はしゃぐみのりさんを横目に、カモはちょっと嫌な予感しかなかった。

そしてこの世は因果なもので、嫌な予感というのは高確率で的中してしまう。

福岡に来て、真っ先に行ったお店が、

なぜか一風堂だった。

カモ『えっ…福岡に来て…一風堂??』

みのり『本場のもやしを食べましょう!!』

カモ『えっ…普段からモヤシばっかりなのに??』

みのり『いつものモヤシに、さらに磨きをかけるためです♪』

カモ『いつも一風堂モヤシのパクりばかりですからね…(遠い目』

みのり『本物の味に近づけないと!!(使命感』

どうやら、今後もモヤシが主食になるのは既定路線っぽい。

そもそもモヤシに本場も何もあるものなのか…

まぁ、みのりさんがご機嫌ならそれでいっか。そういうマインドセットまでおよそ2秒、カモ先生は訓練された返済ATMマシーンとなっていた。

早速、一風堂の店内に入ってラーメンを頼んだ。

みのりさんは、もやしとにらめっこしていた。ラーメンが来る前にすでにモヤシをもしゃもしゃと食べ始める二人組。

みのり『やはり本物は色が濃いですね…』

カモ『漬け込んでるんでしょうかね…』

みのり『ワインと同様、熟成に時間を要するモヤシもある』

カモ『攻殻機動隊wwww』

みのり『カモ先生、いい年してアニメのセリフとか恥ずかしいですよ…』

カモ『お前だよwwww』

そんな感じで一風堂のモヤシとラーメンを堪能したあと、早速、白鳥不動産の店舗に向かった。今後の生活もまた、大部分をモヤシで占められることを考えると憂うつな気持ちがわき上がってきた。

白鳥の勤める不動産屋は博多駅からタクシーでちょっと行った所にある、狭小住宅のような不動産屋さんで、奥まった入り口は不動産屋らしからぬ、明るい雰囲気だった。

白鳥『お久しぶりです、カモ先生』

白鳥

白鳥不動産の扉を開けると、すでに白鳥が対面机に座ってカモ達の到着を待っていた。

カモ『相変わらず、元気そうですね』

白鳥『そういうカモ先生も。なんか…すごく痩せましたね?』

カモ『えぇ…モヤシばっかり食べらされてますから…』

白鳥『それは…経済的ですね(苦笑』

みのり『お金、大事、キマリ、知ってる』

『うわ…ネタが古…』って言った瞬間、みのりさんにバッグで殴られた。ファイナルファンタジーはFF9が至高というカモ先生と、FF10が究極というみのりさんでは相まみえない所があった。

白鳥『相変わらず、仲良しですね。カモ先生、激やせしてますけどwww』

カモ『えぇ…相変わらず搾取されてます』

白鳥『でも、物件は満室経営でしょ?』

カモ『利回りは低いですが、おかげさまで何とか…』

確かに、みのりさんに半ば無理矢理押し込まれた物件は常に満室(満車)御礼でほとんど空かなかった。空いてもすぐに埋まった。

白鳥『自分は痩せて、不動産物件は肥え太る、最高じゃないですか』

抑揚少なめではっきりとした口調、そこに自信とカリスマ性を大盛りにした白鳥の声。以前会った時より明らかに、大物臭をまとってて、存在感が大きくなっているような気がした。

雑談をしながら、白鳥不動産の事務所に入った。

狭い階段を登った先にある応接室、意外と中は広くて、色んな書類や本が適材適所と言わんばかりにキレイに整理されていた。

白鳥『早速ですが、カモ先生に見て欲しいモノ(物件)がありまして!!』

カモ『いきなりっ!!』

白鳥『はい!!どうしても急いでお伝えしたかったので』

どうせまた物件押し込まれると覚悟していた。

そもそも白鳥が全部旅費出してくれるとか、明らかにおかしいし!!

白鳥『とりあえず、3つ用意してます』

カモ・みのり『3つ…』

いやいやいやいやいやいや!!

明らかにおかしいでしょ、物件の勧誘するのに旅行ギフトカード送りつけて自分の働く不動産屋に来させて勧誘するとか、

どんなセレブ営業だよwwwww

心の底からそう思った。

しかも物件3つとか…

『こいつ、まじで頭おかしい』

心の底からそう思った(二度目。

白鳥『カモ先生、以前買っていただいたアパート、満室経営ですよね?』

白鳥がわざとらしい笑顔でそう言った。

カモ『うっ…』

白鳥『しかも…この前空室が出てすぐ埋めた時、家賃上げたので…利回り良くなっていますよね??』

そうだった。この白鳥の機転で、この福岡のアパートの利回りは良くなっている。

白鳥『それに…アパートの評価額、上がってますよね??』

白鳥はすごく誇らしげに、カモをまっすぐ見てきた。

確かに、福岡のアパートの評価額は上がっていた。以前、カモが購入した金額より10%以上高く売って欲しいという申し出もあった。

最初は白鳥不動産の自作自演かと思ったけど、『あのアパート売って欲しい』というお手紙が直接カモの家にも郵送されてきたので、その疑惑はとりあえずないかなと思った。

カモ『うぐぐぐ…』

やばい、このままだとまた福岡の物件(と借金)が増えちゃう。

助けて、みのりさん!!って思ってみのりさんにアイコンタクトをしようと思った、その瞬間、白鳥がとんでもないことを言い始めた。

白鳥『さらにさらに、カモ先生、僕がアドバイスした銘柄でちょっと儲けましたよね?』

一瞬、みのりさんがこっちに視線を移した気配がした。怖くて見れなかったけど。

そう、以前この白鳥はカモに言ってた、NISA口座作って某銘柄を買っておけと。


そしてカモ先生は言われるがまま、みのりさんのあずかり知らぬ所にあったへそくりを使って120万円分くらい買っていた。

そして、すごい利益が出ていた。

白鳥『さて、カモ先生、どうしましょうか?』

カモ『どうってwwww』

白鳥『カモ先生は義理固い、そうですよねっ!?』

みのり『カモ先生…株で儲けてたんですか…』

みのりさんがすごいジト目でこっちを見てきた。

白鳥『おっと…これは言わない方が良かったですかね??』

カモ(くっ…こいつ…)

へそくりの存在がバレたのと同時に、みのりさんの視線が突き刺さる。

みのり『これは…もう買うしかないんじゃ…』

カモ 『いやいやいやいやいやいや!!みのりさん、白鳥側につかないでくださいwww』

白鳥に複数の借りがあるのは間違いなかった。

みのり『ちなみに、3つの物件ってどんなのですか??』

カモ『えっ…みのりさんちょっと乗り気じゃないですか…』

みのり『キノセイですよ、キノセイ』

なんとなく薄々嫌な考えが浮かんできた。

カモ(こいつら…すでに共謀しているのでは…)

そう思っていると、白鳥は3つのクリアファイルから、それぞれ書類を取り出した。

白鳥『この3つの物件です、どうですか??』

とりあえず、動揺を抑えながら1つずつ目を通した。

アパート、アパート、マンション。

全く買う気がないのに、妙に気になるアパートがあった。

価格:5200万円

場所:福岡市内

築7年

建物構造:軽量鉄骨

総戸数:6戸

表面利回り:8.0%

カモ『この2番目のアパート、良くないですか??』

みのり『私も、このアパートすごく気になりました』

みのりさんと意見が一致したことが嬉しかった。

白鳥『二人ともそれを選びますか…実に面白い』

そう言って、ゆっくりと1番目のマンションを見ながら、白鳥は言った。

白鳥『では、1つずつ物件の説明をしますね』

少しもったいぶった感じで白鳥は言った。

白鳥に借りがあるという借りを残したままいつの間にか物件紹介に入っていた。そう、取引が始まった時から白鳥のペースだった。今思えば。

分譲マンション

間取り:2LDK

価格:5400万円

場所:福岡市内(街中ど真ん中)

築3年

建物構造 RC

表面利回り 4.5%

白鳥『このマンションは、お金稼いでいる人用の節税マンションです、ちなみにもう商談に入っています』

カモ『えっ…』

白鳥『薬院は今人気のエリアですから、すぐに売れちゃうんですよね。カモ先生に連絡したあとすぐに問合せがありました。すぐに決めていただけるなら何とかしますけど、カモ先生が求めているモノではなさそうなので今回はパスしましょう』

そう言って白鳥はマンションの印刷された資料を、何の躊躇もなくそっと横に置いた。

白鳥『この物件も悪くはないんですが』

3番目の資料を資料を見ながら白鳥は言った。

価格:3200万円

場所:ギリギリ福岡市内(端っこ)

築29年

建物構造 軽量鉄骨

総戸数 4戸

表面利回り 12%

白鳥『利回りは良いんですけど、少し遠いんですよね』

カモ『そこだと出口戦略が見えませんよね、再開発されそうにないですし…』

白鳥『出口戦略!?カモ先生いつも出口のない迷宮なのに(笑)』

白鳥が急に楽しそうに言った。

みのり『安定した運用っていってください!』

カモ『安定してるのは毎月の支払額なんですけど(白目』

白鳥『まぁまぁ。一棟目の物件でとりあえずアパート経営デビューしたい人向けの物件になりますね。住人も長期で入居してる人しかいないのでカモ先生には刺激が足りないと思います』

カモ『そういうのは求めてないんですけど(笑)っていうか不動産投資に刺激とかいらないんですけど…』

みのり『えっ』

カモ 『えっ』

一瞬、沈黙する。

受付でパソコン作業をしていた女の子がお茶とお菓子を持ってきてくれた。

伊都きんぐの『あまおう苺入りどら焼き、どらきんぐ生』、カモ先生の大好物だった。

男なら誰も、『生』が大好きだと思う

白鳥『ちょうど餌が来たところで…』

カモ『餌って言うなwwww』

みのり『私もこれ大好きです\(^o^)/』

白鳥『良かったら、いっぱい買ってるので帰りに持って帰ってください^^』

みのり『わーい٩(*´∀`*)۶』

カモ『マテ、これはトラップだr…あぁああああ生どら焼き美味しいです@p@』

多分、日本で有数の緊張感のない不動産取引をしている思う。

白鳥『さて…ここからが本題ですが…』

ここから、いよいよカモ先生の人生を(多分)変えてしまう取引が始まった。

<to be continued>

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