『趣味はお菓子作りです♪』
そういう女の子と付き合えたら、幸せな生活が送れるんだろうな…
男に生まれたら、誰もが望む幸せ。
そして男の夢であり、ロマン。
それが女の子からの手作りチョコレートだった。
学生時代からずっと非リア充で過ごしてきたカモ先生に、突然事件が起こった。
みのり『今年のバレンタインは手作りに挑戦しようと思います♪』
カモ 『えっっ!!??』
2019年の2月、彼女のそんな一言でカモ先生のロマンは突然動き出した。
女の子から手作りチョコをもらうのはリア充だけだと思っていた…。
まさか非リア充の自分が女の子から手作りチョコレートをもらえる日が来るとは、夢にも思わなかった。
これで私もリア充の仲間入りだ!!
心の中でリア充マーチをかき鳴らしながら、ガッツポーズをしまくっていたが、顔は冷静を装った。
カモ『うん、楽しみにしてるよ(冷静』
カモ先生の気分はもう、ベテラン・リア充だった。
その日からバレンタインデーまでの1週間、待ち遠しかった。
チョコレートに『大好き』とか『愛』とか書いてあるのかな??
大きすぎて食べきれなかったらどうしよう
とか思いながら、ワクワク・ドキドキしながらバレンタインデーを待った。
でも、そんな満たされた幸せいっぱいの心の片隅で、
何か一抹の不安のようなものがあった。
みのりさんって、お菓子作りとかできるの…かな…
いやいやいやいやっ!!
きっと出来る!!大丈夫!!
女の子は全員、
カントリーマアムでお菓子作りをママから習っているはずっ!!
本来であれば、楽しみに2月14日を待つはずだったけど、だんだんと不安が大きくなった。そして、2月12日にその不安が突如目の前に姿を現してきた。
当直をしながら書類作業をしていたら、みのりさんからLINEが届いた。
みのり『バレンタインデーの予行演習してみました(*´∀`*)』
カモ 『えっ…これは…??Σ(゚ロ゚;)』
みのり『バレンタインです♪』
カモ 『バレンタイン…だと…??』
みのり『手作りって難しいですね(*´∀`*)』
カモ 『えっ…手作り…っていうか…』
どうみても既製品を組み合わせているだけだろ…
みのり『カモ先生を思いながら作りました(*´∀`*)』
カモ 『えっ…自分を…!?』
てっきり人体錬成に失敗したのかと思った。
みのり『カモ先生みたいに、優しい感じにしてみました♪』
カモ 『まてまてまて、優しいっていうか…』
体型が雪見だいふくって、優しさのカケラもないんだけど…
みのり『やっぱり冬はコタツで雪見だいふくですよね♪』
カモ 『自分が食べたいだけじゃねーかwwwwwww』
みのり『う…』
カモ 『っていうか、頭に乗ってるの、たけのこの里ですよね?』
カモ 『そんな髪型してる人、1980年代の不良でもいねーよwwww』
みのり『か…会社に置いてある本にいっぱい出てましたし!!』
ガッキー不動産に置いてある本って…
多分それ、特攻の拓だろ…(確かに頭にたけのこの里乗ってるけど)
カモ 『ちなみに、このピンクの乳首は何ですか?』
みのり『それは目ですっ!!下ネタはやめてくださいっ!!』
カモ 『あっ…これ目だったのか…』
そもそも目をピンクにするとか、
何かしら精神に異常を来している人が選ぶ配色だと思った。
カモ 『ちなみにこのピンクの目…素材はなんですか?』
胴体は雪見だいふく、手はじゃがりこ、頭に乗っているのはパイの実とたけのこの里だということはすぐにわかったけど、このピンクの目の素材が全く分からなかった。
みのり『チョコペンだと思います』
カモ 『だと…思います??』
みのり『冷蔵庫にあったので使ってみました』
カモ 『いつから冷蔵庫にあったの?』
みのり『わかりません(・ω<)テヘペロ』
いやいやいやいやいやいや!!
それ食べ物だよ??わかりませんって何??
この子…多分、脳の代わりに雪見だいふくが入ってるわ…
そう思った瞬間、みのりさんがまた何か言い始めた。
みのり『本番はもっと本気出すっ!!』
ちょっとまて…
それはまずいって!!みのりさん、これ以上本気出したら、
この昭和のヤンキー雪だるまを、ムカデ人間みたいにやりかねないよ…
絶対つなぐだけでしょっ!?
どうせ竹串でザクザクつなぐでしょっ!?
もういい加減、そのやばい思考パターンわかってるし!!
そんな嫌な予感がしまくりの中で、とうとうバレンタインデー本番が来た。
バレンタインデー2019(後編に続く)
【今回バレンタインデーの練習で犠牲になったお菓子達】