#-26.面接試験(前編)

ぐぬぬ・・・。

筆記試験が終わると、待っているのは面接試験だった。

カモはあまり面接試験が好きではなかった。

そもそも人見知りだし、しゃべるのも苦手だった。

時間通りに面接会場に行くと、試験官が受験番号毎に面接控え室に移動するよう案内をしていた。カモの面接は後半の方だった。呼ばれるまでどうしようかと思っていた時、ちょうどクラスメイトの女の子が試験官に呼ばれて控え室に行く姿が見えた。

試験前には、華奢で弱々しく見えていた彼女が、すごく凜々しく輝いて見えた。

そして、いよいよ自分の番号が呼ばれ、控え室に案内された。

面接の控え室には、5人くらいの受験生が自分の順番を待っていた。

筆記試験では気づかなかったけど、いかにもチャラそうな年下の受験生もいた。こんなイケイケな奴には負けたくないっ!!(現実世界では大敗しているので)と心はメラメラ燃えた。

控え室の椅子に座って、面接対策のノートを広げた。

面接対策も予備校でやってきた。

講師の先生には かなりあきれられたけど、大体の対策はしてきた。

『安楽死と尊厳死』、『僻地医療』、『医療と倫理』、『クローン問題』、『産婦人科医や外科医の不足』などある程度の話題についても語れるようにはしていた。

ただ一つ、講師から出された難しい課題があった。

それが、『面接官を笑わせろ』だった。



カモ 『な…なんですか? 面接官を笑わせるって…??』

講師 『カモ、君は現役でもなければ、一浪でもないからね。正直言って、面接官にはかなり警戒されます』

カモ 『警戒…ですか…??』

講師 『そうです、そもそも面接試験って何のためにあるかわかりますか?』

カモ 『知識を試すためですか?』

講師 『それだったらペーパーテストで聞けば良いんです。面接はですね…ペーパーテストではわからないヤバイヤツをはじくためです』

カモ 『やばい…やつ…!?(ゴクリ』

講師 『そう、医者にしたらいけない人です。危ない性格だったり、協調性が欠如してたり、挙げたらキリがないですけどね。ペーパー試験ではそれが見抜けない、だから面接をするんです。それと…』

講師は言いにくそうに続けた。

講師 『医学部は二浪以上は警戒されます。二浪以上の人は、やばい人だと警戒されるところから面接が始まるんです。そしてカモ君、君は面接ではやばい人になります。だからカモ君はとても不利なんですよ…』

カモ 『そんな…あんまりだよ、こんなのってないよ』

こんなのってないよ

講師 『まぁ…実際多浪生は留年率や退学率が高いって言いますしね…』

カモ 『なるほど…。それで何で面接官を笑わせることが重要なんですか?』

講師 『一番大切なのは安心感です。2浪以上の多浪生はまず試験官の警戒を解かないといけません。「私は大丈夫ですよ。余裕がある大人ですよ」という安心・安全・無害な人間アピールが必要なんです』

カモ 『それで笑いをとる必要が?』

講師 『そうです、人間が一番 気を許す瞬間っていうのは、笑う時なんです。どんな緊張した場面でも笑いが起きた瞬間に、一気に空気が和むことがあるでしょ?』

カモ 『確かに…。』

確かに、危険な場面を笑いで切り抜けたシーンを何度か見たことがある!!(アニメで

緊張する場面

カモ 『でもどうやって笑わせるんですか?自分お笑いスキル皆無ですよ…』

講師 『基本はゆるい自虐です。面接官は医者が多い。医者っていう生き物は大概プライドが高いですから…。プライドを刺激するような話はNGですよ、イラッとされたら、そこでカモ君の負けです』

カモ 『プライドが高い…』

講師 『そうです、絶対に張り合ったらいけません。靴を舐める覚悟で行ってください。自分が白だと思っていても、面接官が黒といったら黒なんです』

カモ 『は…はい』

そんな無茶な…と思ったけど、面接の試験のためなら何でもやると決めていたので納得した。

講師 『例えば、試験官が黒だと言って自分は白だと思っていたら、どう返答しますか?』

カモ 『えっ…。自分も黒だと思いますっ!!(キリッ』

講師 『そのまんま過ぎるでしょwww理想的な答えは、自分はXXXという理由で白だと思っていました。ただ自分はまだまだ勉強不足であり、先生が黒と仰る理由について調べ、学びもう一度再考してみようと思います』

カモ 『すごい…へりくだった感じが出てるし、同時に前向きさもアピールしてるっ!!』

講師 『でしょ?ちょっと自虐しつつもアピールして攻める、これが理想です』

講師の先生はどこか得意げだった。

カモ 『でも笑いの要素はどこに入れれば…』

講師 『そうですね…カモ君だったら、この後どうやって笑いを取りに行く?』

この後に…だとっ!?

笑いをとるなんて、正直無理な話だった。自分はお笑い芸人でもなければ、落語家や綾小路きみまろのような噺家でもないのだから。

カモ 『でも、下着だったら黒よりも白が好きですっ!!』

講師 『まさかの下ネタっwwwwww』

カモ 『ダメです…よね…』

講師 『ダメに決まってますwww面白いけですけどもwww全員が笑わなければ一発で詰みますよwww』

カモ 『ハイリスク過ぎるwwww』

ツボにはまったのか、講師の先生はまだ笑っていた。マジメそうな先生なのに、下ネタが好きなのは以外だった。

講師 『下ネタはイチかバチか、そう思っておきなさいっ!!』

禁欲生活をして勉強してきたのに、最後に下ネタで落とされることだけは避けたい。どうせ落とされるなら、セクシーな女医に落とされたい(性的な意味で)。

※この時下ネタはイチかバチか、そう教わったはずだけど、本番の面接でそのイチかバチかをすることになる。

講師 『ここで笑いをとろうと思うと難しいですね。例えば…』

講師の先生は真顔になったかと思うと、答えを組み立てて口を開いた。

講師 『それで自分が調べ学習した結果、やっぱりどうしても白だと思ったらまた議論させてください、出来ればこの大学の医学生として、もう一度先生方と議論したいです(満点の笑顔』

カモ 『うわぁ…こんなのよく思いつきますね…』

講師 『合格させてっていう熱意を、笑いに込めてさらっと伝えれば良いんです』

何をメモすれば良いのかわからないくらい、カモは感動した。

講師 『これが面接です。普段のコミュニケーションスキルだけじゃなく、戦略と訓練、そして経験が必要なんですよ』

この2年間、まともに会話したのはゲーリー先生かチューターだけだった。そして、ゲーリー先生も下着は白が好きと言ったはずだ。そんなことを思っている自分が本当に医学部の面接をこなせるのか、当時は不安しかなかった。

カモ 『これ…自分も出来るようになるんですかね…(遠い目』

講師 『しないと落ちますよ??』

カモ 『頑張りますっ!!』

そうやって何度も面接の訓練をしてきた。

何度も何度もシミュレーションしたことを思い出し、フラッシュバックしながら待合室で自分の番が来るのを待った。

『受験番号XXX番のカモ君。こちらにどうぞ』

いよいよ、カモにとって最後の勝負が始まった。

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コメント

  1. 花と太陽と雨と より:

    こんな心理戦(?)までこなさないといけないんですね、
    ガッキーさんと楽しい花火、土砂降りかなんか発生して素敵な展開になるのをお待ちしてます!

    • かもねぎ先生(管理人) より:

      花と太陽と雨と 様

      面接対策、自分の場合は医学知識も全くなく、コネも無い状態だったので、かなり苦労しました…。
      濡れて透ける浴衣とか最高ですよねっ!!(性癖