#−19. 2度目のセンター試験、その@で

かもねぎ先生フリーター

センター試験が終わった瞬間、『とりあえず終わったという解放感』と、『何点採れているんだろうという不安感』と、『2次試験対策という現実感』が襲ってきた。

とりあえず、予備校に寄らないとと思い予備校に向かった。

帰り道は、センター試験を終えたばかりの受験生であふれていた。自分より年下の受験生達に混じって一人校門に向かって歩いた。

帰りの電車の車内は、たくさんの乗客が乗っていて賑やかだったけど、『化学ミスったわー』、『勘で書いたのが全部当たった!!』、『浪人が決定した』、『マークミスした』といったセンター試験のことばかりが耳に入ってきた。

『一夜漬けで生物8割採れたわー、これ1週間あったら満点採れたやつだわー』という言葉が聞こえた時には、今思えば地獄のミサワ風で面白いと思った。

一人で歩く予備校までの道のりは少し心細かったけど、予備校に戻ると、ゲーリー先生とチューターが待っていてくれた。

ゲーリー『おつかれさんっ!!』

去年と違い、絶望的な表情をしていない自分を見て安心したのか、ゲーリー先生は笑いながら労いの言葉をくれた。

ゲーリー『どうだった?』

ゲーリー先生の顔を見ただけで涙ぐみそうだった。

カモ『とりあえず、全力は出せたと思いますっ!!』

いい年をして、現役生に混じってセンター試験を受け、全力を出し切ったと言うのに抵抗はなかった。現役生だろうが、元フリーターだろうが全力を出しきる瞬間は平等だった。そしてセンター試験はその全力を『点数』という数字で評価してくれる。

選択肢に〇をつけたセンター試験の問題用紙を渡した。

ゲーリー『相変わらず、汚ねぇなwww』

問題用紙は、計算や図式、イラストで書き殴られていて、お世辞にもきれいな状態ではなかった。

チューター『必死さが伝わってきて、私は好きですけどね』

ゲーリー『まぁなwwww』

カモ 『なんか…頭の中を見られるようで恥ずかしいので、〇したところだけ見てください』

ゲーリー『さすがにエロいこととか書いてないから、大丈夫やろwww』

カモ 『えぇ、そんな余裕ありませんでしたよ…』

そんな感じでセンター試験の雰囲気を思い出しながら話し、自分なりの難易度や出来を簡単に伝えた。今年のセンター試験は例年よりも簡単だったかもしれない、そんな漠然とした不安があった。

ゲーリー『明日には採点全部出るから、今後のことは、また明日相談しよう。今日はゆっくり休め!!』

チューター『また明日、来て下さいね。頑張って採点しておきます』

採点まで丸投げしてしまって、本当に申し訳ないと思ったけど、ゲーリーとチューターはすごく目を輝かせていて、楽しそうだったのでそっとしておいた。

そうして、長かった1日が終わり、やっと自分の家に帰った。



家に帰って、センター試験を受けたことを家族に話したが、父親も母親も最終学歴が義務教育(母に至っては中学校を卒業したかどうかも怪しい)という超エリートだったので、去年と同様、『センター試験?なにそれ美味しいの?』みたいな反応しかなかった。

カモ『とりあえず、頑張ってきたよ』

父 『そうか、楽しかった??』

カモ『うーん、気がついたら終わってた…』

母 『まぁダメでも何とかなるから大丈夫wwww』

カモ『そっちの”終わる”じゃねーよwwww』

僕の両親は、学歴も教養もなかったけど、無駄にポジティブだった。バイクを売ったり、保険を解約したりして、僕の医学部を受けるという、ほぼ妄想じみた夢のために全財産をかき集めたのに、全然そのことについて言及しない。

そしてその両親は、自分に対しては十分すぎるほどに愛情を注いでくれた。医学部を受験するまでは、それはまるで空気みたいに普通のことで、意識することはなかったけど…。医学部を(2回も)受験することで、自分は両親にすごく愛されて、見守られていたんだなと感じることとなった。

受験という概念のない両親に、受験のシステムを説明するのは中々難しかったから、簡単に説明しておいた。

なるべくわかりやすいように、

センター試験→2次試験→面接→合格 っていう流れで、全部合格したら医学部に入れるんだよっ!!って説明した。

父 『じゃあ、これからが本番なんだな…』

母 『とりあえず、お疲れ様だねっ!!』

うまく伝わったかわからないが、もうこればっかりはしょうがない。

『センター試験っていうのは、昔の共通一次っていう試験だったらしいよ』って伝えたが、

そもそも両親は『受験』を経験したことがないので、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていただけだった。とりあえず、これを全部合格すると、医学部に入れるんだよっ!!っていうことはわかってくれたようだった。

両親の笑った顔を見ると、一気に身体の緊張が取れて眠気が来た。

2日間、張り詰めていた緊張の糸が切れる音がした。

その日は、早く布団に入って、翌日遅くまで熟睡した。

その間、一度も目が覚めることはなかった。

翌朝、寝過ぎたせいか、目が覚めた時、自分がどこにいるのか、今何時なのか、それどころか自分の身体の境界さえはっきりしない状態だった。

『予備校に行かないと…』

きっともうセンター試験の採点が終わっているはず。

ベッドから転がるように床に落ち、床の上を泳ぎながらリビングに向かった。

時計は10時を指していた。

『寝過ぎた …』そう思いながら服を着替えて予備校に向かった。

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